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2005年10月 読書ノート最終更新日:2005/10/31
ここでは私が読んだ本についての感想を公開しています。本のジャンルは「なんでもあり」です。
ミッション、ビジョン、戦略を定義する。そしてその戦略のCSF(Critical Success Factor)を財務、業務プロセス、お客様、人材の視点で整理する。それぞれのCSFに対してKPI(Key Performance Indicator)を設定して、それを月ごとにレビューしていくことで、戦略を推進していく。これがバランストスコアカードの使い方。バランストスコアカードは、戦略を立てるだけ、現場が効率的に動くだけでなく、それを結びつけるために活用する。
実はこの本を読むずっと前に、バランストスコアカードの本を読んだことがあったのだが、その本ではバランストスコアカードが何なのかが良くわからなかった。僕自身に背景の知識が増えたので、理解しやすくなったという面もあるとは思うが、この本が容易でわかりやすく記されている点が大きいと思う。親しみやすい図やエピソードが、含まれていて読み物と言う感覚で読むことができた。特に、パート4の「バランス・スコアカードの近未来」はかなり方の力を抜いて読むことができると思う。
この本を読んでみて感じたバランストスコアカードの一番の特徴は、戦略を「実行」するためのツールであるということ。世間で見かけるほとんどのフレームワークが戦略を立てるためのツールであることと対称的だと感じた。
日付:2005/10/31
2000年に出版された本で少し内容が古いのかなと感じた。この本を読んで感じたのは、先日読んだ「電子マネー戦争 Suica一人勝ちの秘密」で、電子マネーが生まれる背景には、この本で紹介されているようなJR東日本の積極的な事業創造の姿勢があったのだと知ることができた。しかし、この本によると、JR東日本の事業創造は初期段階ではあまり成果が上げられなかったようだ。鉄道マンが慣れない手つきでレストランの店員を務めると言う状態や、これと言ったポリシーもなくどんな事業にでも取り組むなど。しかしそのような状態からも、JR東日本の社員自身が鉄道周辺サービスの利用者としてどう思うのかを考えていく中で、顧客の視点で発想することができるようになっていく。事業創造ということで、本業とのシナジーも考えずにどんな事業にでも手を出すという姿勢があったJR東日本だが、様々な事業に取り組む中で、他の業態(この本では主に百貨店が取り上げられているが)に出向して働いていた社員達の鉄道マンとは違う発想が生かされるようになる。
事業創造による変革というビジネスは、大変興味深い。JR東日本では事業創造に失敗した経験をきちんと蓄積し、また事業創造に取り組んで失敗した社員は居場所が無くなったり罰を受けたりするのではなく、その反省を生かして新たな事業創造に取り組める環境が整っているようだ。他の企業に視点を移してみると、2000年当時であれば企業内ベンチャーが流行していた頃だと思うが、最近は事業創造は下火となりベンチャー企業をM&Aで吸収するスタイルが流行っている。JR東日本では、失敗を生かす姿勢が功を奏し、今でも電子マネーのような事業創造に取り組むことができているのではないかと考えられる。
この本では、上記のような華やかな側面以外に、ローカル線の課題が取り上げられている。鉄道はJR東日本が持つ重要な資産であることは言うまでもないが、事業創造として注目される駅は東京やその近郊や、地方の中枢の駅のみとなっている。ローカル線の駅は寂れており、駅を降りたとたんシャッターの降りた店が並んでいるところが多い。地域の活性化をキャッチフレーズの一つに上げるJR東日本としては、もっと真剣に取り組まなければならないテーマの一つではないかと思われる。
日付:2005/10/17
武田薬品工業の元社長、武田國男氏の生い立ちをが描かれた自伝。武田家の三男坊として生まれ、周囲からは社長となることは期待されていなかったが、長兄の死の影響で社長となった。それまでは、本のタイトルにもなっている「落ちこぼれ」としての学生生活と、窓際のような立場で会社に勤めてきた。急に社長となってからは、大企業病に犯されていた武田薬品の社内を、本業の薬品事業に集中し、やったものが報われる会社へと変革を進めた。
この本を読んでいると著者は、自身の事をカンニングばかりやっていた「落ちこぼれ」とばかり言っている。学生の頃はともかくとしても、会社に入ってからは野心的にいろいろな事業にとりくんでいることが分かり、読んでいてたいへん面白い。そして社長となってからは、そこで得た経験をきちんと生かしているという事も良くわかる。武田の改革は、著者が実践で身につけた経営スキルがベースとなっていると感じさせられる。
この本で描写されている改革前の武田薬品の状況を見ていると、典型的な大企業病だと言う感想を持つと同時に、僕自身の勤めている会社、企業グループのNECも、それと似た大企業病を煩っているということを認識させられた。この本の言葉を借りると「ぬるま湯の中で仲良しクラブや派閥にうつつをぬかしている会社」となる。仲良しクラブや派閥という存在が、企業にとって即マイナスになるとは思わない。大企業病の問題の本質は、続いてきた組織の惰性で、目的もなく事業を進めている状況にあると言って良いだろう。
ところで、著者は甲南大学の卒業生であり、僕の先輩にあたる。この本の中でも「甲南漬け」(甲南漬けという神戸の漬け物とかけて、甲南幼稚園から大学の文化・風土にどっぷりとつかることをいう)と言う言い方が使われているが、この言い方はいつ頃から言われてるようになったのだろう。と、くだらない疑問を持った。
日付:2005/10/12
JR東日本のICカード「Suica」のドキュメンタリー。切符・定期券としてのSuica誕生までの物語と、そのSuicaが電子マネーとして進化していく物語、そしてその後の構想が描かれている本。
自動改札機にタッチするだけで乗車できるICカード切符・定期券の「Suica」が誕生するまでには、まず最初に技術的な問題を乗り越える必要があった。それは自動改札機にタッチする時間を、0.2秒以内にしなければならないという処理速度の問題だった。しかし、その問題を解決しても、ICカードがビジネスとして成り立つのか、と言う問題が待ちかまえている。そこで考えられたのが自動改札機のメンテナンスコストが節約できるという理由である。磁気切符の場合ではベルトの摩耗に対するメンテナンスコストなどが多額に上るが、ICカードに変更することでそのメンテナンスコストが節約できるという訳だ。そして、その次に考えられたのが、駅ナカ、街ナカでの電子マネーとしての活用という理由がある。これでSuicaは定期券や切符から、電子マネーになる。電子マネービジネスを開始する上では、JR東日本のビューカードのノウハウが非常に有効であったことなどが描かれている。この本を読んだことで、SuicaがJR東日本にとって、いかに大きな意味を持つプロジェクト・ビジネスであるのかと言うことが分かる。
この本では、JR西日本の「ICOCA」や、スルッとKANSAIの「PiTaPa」についても取り上げられている。これらのICカードは技術的に相互利用が可能である。それは、最初から鉄道会社同士が規格を統一して進めているからであると言うこともこの本を読むことではじめて知った。競争だけでなく、このような協力関係があることは鉄道利用者にとっては素直に有り難いことだと思う。
電子マネー分野については、ビットワレットのEdyがANAやNTTドコモとの協力によって普及しており、その普及に刺激される形で、Suicaの電子マネーとしての幅が広がってきている。一つのカードだけで世の中が随分と変化していく。この本は、そんなドキュメンタリーが描かれている。何気なく持っているSuicaだが、この本を読んで可能性を秘めた面白いカードなのだと、改めて感じた。
日付:2005/10/11
書店のビジネス書のコーナーでよく見かける業界地図の本の一つ。一度は一通り読んでおいた方がよいのかな、と以前から思っていたので、購入して読んでみた。正直なところどの業界地図本でも良かったのだが、この本は文庫で値段も安いという理由で選択した。
全部読んでみた感想はというと、大まかすぎて良くわからないというところだろうか。250ページ足らずの本に、流通・運輸・外食・エネルギー・食品飲料・建設住宅・通信・情報・サービス・金融・製造の業界のことが詰め込まれている。それぞれの業界の説明があまりにも端的で大まかにもとらえることができなかったのではないかと思う。この本は、どのような業界にどのようなプレーヤ(企業)が存在しているかを知ると言うくらいの気持ちで読んだ方が良いのではないかと思った。自分が理解すべき業界については情報が全く足りず、加えてその業界の本を読まなければならないと思う。
ページ数が限られていると言うことが最大の原因だと思うが、この本では、主語が省略されていたり、主語に対する修飾が多すぎたり、一文が長すぎたりして、理解しにくい文章が多かったと言う印象を受けた。
日付:2005/10/10
私は営業職を経験したこともなく、今後経験する事もないとは思う。しかし、コンサルティングには関心があるのでこの本を手に取ってみた。この本には、物余りの時代の現在では、セールスマンはコンサルティングによってそのものの価値を顧客にコミットしなければ、セールスがたち行かなくなってきていると言うことが書かれている。このことはセールスマンだけでなく、製品を開発する者であっても、サービスを提供する者であっても意識しなければならないことであると、僕は考える。ただ高機能な製品を作る、入念なサービスを提供するということではなく、顧客がその製品やサービスを利用する目的や場面を意識しながら取り組む事が、現在のビジネスでは非常に重要なことだと思う。
この本では、コンサルティング・セールスとは何か、顧客ニーズの聞き方とまとめ方、プレゼンテーションの仕方、折衝の進め方、トレーニング方という内容で構成されている。顧客ニーズの聞き方では、事前準備の重要性と、顧客は真実のことを言うわけではない(どうやって真実を導き出すか)という事がキーポイント。プレゼンテーションの仕方は、時間を守る、訴求したい点を漏らさず伝える、ツールを上手に使いこなすという事がキーポイント。折衝の進め方では、目的を明確にして望む、非論理性(理屈だけでは商談には勝てない)に注意するということがキーポイント。トレーニング方では、セールスマンの仕事に支障を来さないように効率よく実施することがキーポイント。それぞれの点で、以上のようなキーポイントがあると思われる。
これらのキーポイント以外にこの本で取り上げられていたことの一つに、相手の話の腰の折り方というテーマがある。これは交渉相手が饒舌過ぎて、話が横道にそれてしまった場合に、どのようにして本題に話を戻すべきかという問題です。その方法の一つとして、相手の話を先回りして共感を示して話を切り上げ、本題に戻すという方法が紹介されている。と、言われても具体的にどうすればいいのかは、なかなかピンと来ない。話し方や交渉の仕方は、本だけで読んでも実践につなげるのは難しいものだな、と感じた。
日付:2005/10/01
デーウェアハウスの入門書、100ページ程度の薄い本ですぐに読むことができた。データウェアハウス専門の解説書と言うものは非常に少ないと思う。E・F・コッドの著書が有名で、僕自身も過去に読んだことがあるが、書かれている事象を個別に理解することはできても、読み終わった後に「結局、データウェアハウスとは何だろうか」と振り返ってみると、混乱してしまう面があると思う。データウェアハウスを知るのであれば、まずこの本のような入門書を手に取るのが良いと思う。
データウェアハウスの基本をまとめると「データウェアハウスとは、企業が持つ膨大なデータを分析する為に構築する。基幹系データベースと異なり、情報を更新するのではなく追加していく特徴がある。データベース設計ではデータ更新を意識する必要は無いので、正規化ではなく、検索性能を意識して非正規化を考慮する。」と言うことになると思う。この本ではこのような基礎以外に、システム構成(セントラルデータウェアハウス、データマート)、設計(データクレンジング、メタデータ管理)、多次元データベース(スライシングとダイシング、ドリルダウンとドリルアップ、ドリルスルー)、データモデル(スタースキーマ、スノーフレークスキーマ)、データ活用(問い合わせ、多次元分析、データマイニング)、開発方法論などが取り上げられている。
僕は、これらのテーマの中で特にデータマイニングに関心を持った。データマイニング手法として、アソシエーションルール・クラスタリング・クラス分類・予測・統計解析・ニューラルネットワーク・決定木が取り上げられている。この本では、各手法が何かという事に少し触れられているだけだが、データマイニングを学ぶためのきっかけにはできると思う。
日付:2005/10/01
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