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「困ったときはお互い様」という言葉の使い方

 随分前のことだが、仕事上で「困ったときはお互い様」という言葉を言われて驚いた、というよりも呆れてしまった事がある。
 「困ったときはお互い様」は、自分が困っている人を助ける時に、その相手に気を使わせないように言う、気遣いの言葉だ。Aさんが何か失敗をして、Bさんがその失敗の穴埋めのために助けている場合。Aさんは、自分が原因でこのような事になってしまって申し訳ない気持ちで一杯、しかもBさんにまで迷惑をかけている。Aさんは、Bさんに「すいません、私のミスでこのような事になってしまい、ご迷惑をおかけします」と言う。このような時にAさんの気持ちを少しでも楽にするために、Bさんが「困ったときはお互い様ですから、気にしなくていいんですよ」とAさんに声をかける。これが、この言葉の正しい使い方だと思っていた。
 ところが、仕事上で人手が必要ということで、定時よりも後の(おそらく深夜か明朝まで続く)作業を担当するように言われた。僕はその仕事に全く関係していない上に、前日まで深夜残業や徹夜作業が続いていたので、別の人に依頼してもらえないかと言うことを伝えようとした。こちらが表情を曇らせて言葉を返そうとすると、こちらが言葉を言うよりも先に(その表情を見て)「困ったときはお互い様です」という言葉を返された。この時、僕は呆れてしまって返す言葉がなかった。この後、この人が「正しいことを言った」という顔で意気揚々と去っていったことは言うまでもない。
 こういう事を日本語が乱れていると言うのだろうか。否、言葉以前の問題。通常、このような自分勝手な言葉の発言者を人間とは呼ばないだろう。

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